【不妊と歯周病の関係について】
〜現時点で分かっている「確かなこと」〜
近年、「歯周病と不妊に関係があるのでは?」という話題を目にする機会が増えてきました
そこで今回は、科学的な研究で分かっている“確実な事実”のみを、歯科医師の立場から分かりやすくお伝えします
① 歯周病は全身に影響を及ぼす慢性炎症性疾患です
歯周病は、歯ぐきだけの病気ではありません。
歯周病が進行すると、歯周病菌や炎症性物質が血流を介して全身に影響を及ぼすことが分かっています。
実際に、歯周病は以下の疾患との関連が報告されています。
・糖尿病・心血管疾患・早産・低出生体重児
「歯周病が全身疾患と関連する可能性がある」ことは、医学・歯学の分野で広く認識されています。
② 不妊と歯周病には「関連が示唆された研究」が存在します
これまでの研究の中には、・不妊のある方で歯周病が多くみられた
・歯周病の指標(歯ぐきの出血や歯周ポケット)
が不妊群で高かったといった「関連性」を示した観察研究が報告されています。
ただし、重要なのは、「歯周病が不妊の原因であると証明されたわけではない」という点です。
現在までに発表されている研究の多くは観察研究(関連を調べる研究)であり、
因果関係(歯周病が不妊を引き起こすかどうか)を証明するものではありません。
③ 歯周病治療で不妊が改善する、という確実な証拠はありません
患者さんからよくある質問に、「歯周病を治せば妊娠しやすくなりますか?」というものがあります。
現時点では、
・歯周病治療によって不妊が改善する
・妊娠率が上がるといったことを明確に証明した高いエビデンスはありません。
そのため、歯周病治療は「不妊治療の代わり」や「妊娠を保証する治療」ではない、
という点は正しく理解する必要があります。
④ それでも口腔ケアが大切と考えられる理由
確実に言えることとして、
・歯周病は慢性炎症を引き起こす
・炎症が長期間続くことは、全身の健康にとって望ましくないという事実があります。
妊娠を希望される方にとっても、
・お口の中を健康な状態に整えること
・感染源や慢性炎症を減らすことは、全身の健康管理の一部として重要だと考えられています。
これは妊娠・不妊に関わらず、全ての方に共通して言えることです。
⑤ 歯科からお伝えしたい大切なメッセージ
現時点で、歯科医師として患者さんにお伝えできるのは次の点です。
・歯周病と不妊には「関連が示唆された研究」はある
・しかし「歯周病が不妊の原因である」とは証明されていない
・歯周病治療が不妊を治す、という確実な証拠はない
・それでも、口腔内を健康に保つことは全身の健康管理として重要です
気になることやご心配なことがあれば、お気軽にお尋ね下さいませ





